2012年08月28日

トーク・イベントやります

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書評家&ライターの杉江松恋さんがホストでやっているトーク・イベントのゲストに指名いただきました。
新刊『シンヂ、僕はどこに行ったらええんや』についてしゃべります。
詳細はこちら。

http://www.go-livewire.com/#117

有料なので、ちょっとビビってますが、お暇な方、どうぞよろしくお願いします。
当日、本の販売もあります。もちろんサインも書かせていただきます。

  ※  ※  ※

さて、その決定を聞いたあとの、土曜日の朝のこと。
Twitterを見てビックリする。
なんと、トークのホストである杉江さんが、石巻からツイートをしていたのだ。

「え、どういうこと!?」
前日、金曜日は一日ネームを描いていたので、TLを少しも見ておらず、
杉江さんがどうしてそこにいるのか、事情がさっぱり判らない。

慌てて発言をさかのぼってみると、どうやら金曜日から一泊二日で宮城県に取材に来ているらしい。
しかも、この日の朝は、東松島市の野蒜(のびる)ーー僕がボランティア活動をしている場所ーーにもいたではないか。

まさか……僕と対談があるから、本で描かれている現場を取材に行った?
わざわざ?

すぐにリプを返し、色々と訊くと、僕の本とは関係なく、この旅行はとっくに決まっていたものらしい。

なるほど、逆か。
石巻に行く予定があったから、僕の本に何かを感じてくれたのだろう。

どっちにしろ、こんなチャンスはない。すぐにメールを出した。
「このあとの予定はどうなっていますか? また、野蒜に戻ることは可能ですか?」と。

偶然にもこの日は、僕の本に登場する仲間たちがそこで作業をしていた。
そしてその中には、本のタイトルになっているシンヂ、表紙とセンターカラーの写真を担当してくれた成瀬くんもいるのだ。

杉江さんからの返事にはこうあった。
「少しの時間ですが、戻ることは可能です。ぜひ、その方たちにお会いしたいです」

すぐになるちん(成瀬君)に電話して「そういうことになったのでよろしく」と伝える。

そして「良かった、間に合った」と、胸をなでおろす。
なぜなら、このあと僕は「ダイナマイト関西VSギャグ漫画家大喜利バトル」に出場するために、しばらく彼らと連絡がとれなくなってしまうから。

イベントのリハをやっている間に、杉江さんのツイートを見た。
「喜国さんの仲間にお会いした。次は作業をしに来ようかな」
同時になるちんからもメールが届いた。
「杉江さんに会えました。少しの間でしたが、作業もしていかれました」


なんと、作業までしてるんじゃん、杉江さん。

なるほど、無事になるちんに会えたのは判った。
ところで……シンヂはどうだったんだろう?
作業現場は一つではないから、短時間では会えない可能性の方が大きい。
でもまあそれは些細なこと。
トークイベントのネタが一つでも増えたことを喜ぼう。


気にかかっていたことが片付いたおかげで、大喜利は心置きなく戦えた。
みうらじゅんさんと組んだタッグマッチは対戦相手が強力だったため(バッファロー五郎 竹若さん&博多大吉さん)ぼろ負けだったが、総合では漫画家チームの勝ちで終わって、万々歳。

その後の打ち上げでは、好きな芸人さんたちと話すこともでき、本当にいい一日で終わることができた。

そして、
一日経過した日曜の夜。

ボランティア仲間との連絡掲示板を見ていた由香ちゃんが、突然、笑い出した。
疑問に思う僕に、由香ちゃんはその書き込みを指し示す。

そこにはこうあった。

「喜国さんのお知り合いの方、さっそくシンちゃんに、ひどいあだ名で呼ばれてました」


これは笑うしかなかった。

シンヂは、僕の本でも〈ひどいあだ名をつけるキャラ〉として登場しているのだが、
初対面の相手に、しかも会ってすぐ、とは思わなかった。

ひどいあだ名。

訊かなくてもだいたい想像はつく。
シンヂの好きな単語は五つほど。
そこから杉江さんのイメージに合わないものを二つほど外し、
残りを組み合わせる。

もうね、どれをどうやってもひどいのしか作れない。

ああ、ゴメンよ、杉江さん。
文学畑で生きてきた杉江さんには、論敵はいたとしても、ただ普通に口の悪いヤツなんていたはずなんてないのだ。
何て呼ばれたのか知らないけれど、悪気はないヤツなんで、どうか許してください。

ということで、
四日のトークイベント、ますます楽しみになってきた。

みなさんも気になるでしょ? 
杉江さんのひどいあだ名。

知りたい人はぜひ、会場へ。

★本日の画像
野蒜で作業する杉江さん(真ん中の黒シャツ)。その横の白シャツがシンヂ(撮影 成瀬敦視)
posted by kikuni at 07:08 | 日記

2012年08月11日

『シンヂ、僕は?』の正誤表

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編集段階で何度チェックしても、本になったときに絶対に見つかる。
それが「誤植」。
もう「植」の時代ではないが「ミスプリ」ではニュアンスが違って聞こえる。やはりここは「誤植」と言いたい。


完成した本は、届いた日に読む。
「嬉しくて」ではない。
「嬉しさ」は読まなくても実感できる。なで回したりパラパラしたり、ときに匂いを嗅いだりすればすむこと。

読むのは誤植を発見するためだ。
素早く見つけておけば、いつ増刷がかかっても慌てなくていいからね。
もちろん増刷はかかるとは限らない。
かからなければ、ただの無駄な労力になるのは言うまでもないが、
人として出しっ放しはナニだと思うので、出る出ないに関わらず、尻拭いはきちんとしておきたい。


本になる前に見つけた間違いもある(正確にはセンターの写真ページを担当してくれた成瀬敦視君が見つけてくれた)。
まだ書店に並んでいないのに直せないのは実に悔しい。
そういう意味では、本になってから見つかる方が精神的には楽である。

というわけで、現物を読み直して見つけた誤植を以下に並べる。
お買い上げいただいた方は、お手数ですが、お手持ちの本に訂正をよろしくお願いします。

138P うしろから4行目 
 × 生活再開ための
 ○ 生活再開のための

159P 右下の書き文字
 × お風品
 ○ お風呂

175P 漫画下のキャプション
 × ボランティエピソード
 ○ ボランティアエピソード

211P 最終行のアドレスが6月30日をもって、以下に移動。
 ○ http://ismk.web.fc2.com/

とりあえず、今日までに見つけた誤植は以上だが、文章を直したいところもチラホラ。
いつになったら、気軽に読み返せるんだろう。

★本日の画像
なぜ、こんな文字を描いたのか?
活字の間違いはいくらでも他人のせいにできるが、自分で描いた文字はどこにもぶつける場所がない。


  
posted by kikuni at 21:03 | 日記

2012年08月10日

キャラの王国

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「シンヂ、僕はどこに行ったらええんや」(双葉社)発売しました。
震災ボランティアの活動記録のエッセイですが、書店によってはコミックの棚に置かれていることがあります。
また「人文・社会」関係のコーナーで肩身を狭くしていた、との報告もあります。
見つからない場合はぜひ書店員さんにお尋ねください。

「入荷してません」
と言われることもあるけどね。

Amazon http://tinyurl.com/c7y9ku2
honto(旧bk1) http://tinyurl.com/bqctgns
楽天 http://tinyurl.com/ce9ppk8

……………………………………

昨日、写真が届きました。
写っているのは四人のおじさん。
笑顔で同じ本を持っています。

四人のうち二人は東松島で被災された方、
一人はその家を直すため北海道から移り住んだ大工さん、
最後の一人はボランティア仲間。
手にしているのは、僕の『シンヂ、僕はどこに行ったらええんや』。
四人はその本の重要な登場人物です。


今週も彼らの場所でボラが行われます。
「ならば、ちょうどいいですね」と、仲間(コードネーム「おとーちゃん」)が発売前の僕の本を、僕がお手伝いさせていただいた方たちへ届けてくれました。
そのとき撮ってくれた画像ーー僕への報告にーーです。

ここで公開できないのが残念ですが、実にいい写真です。
慣れていない感じが微笑ましくて、まるで、そう……健康補助食品の広告のようでw。

その写真を見たときに思いました。
この本を出してもらって本当に良かった。
書籍化の話がきたときは複雑な思いだったけれど、僕が決めることじゃなかったんだと。

普通のニュースには被災者の名前は出ません。
ボランティア仲間も同じです。

そんな方たちの〈人となり〉を書くことができました。
その分量はちょっぴりだし、イニシャルやあだ名ではあるけれど、
それぞれに「これは私のことだ」と判ってもらえる程度には。


僕は漫画家ですが、キャラを作るのは苦手で、作品はいつもストーリーから考えます。
でも今回は違います。
誰もがみんないいキャラです。
そしてナイスなエピソードを山ほど持っています(ページの都合で、ごく一部しか紹介できなかったのが残念です)。

彼らは今日も暑い中、作業をしています。
そしてきっと、新たなエピソードを作っていることでしょう。

 ※ ※ ※

ゲラで何回も見直した文章ですが、やはり誤りは見つかりました。
その「正誤表」はまた明日。

★本日の画像
成瀬敦視君(コードネーム、デブロンorナルちん)撮影の写真ページより。
左、津波から逃げる車の中で生まれたウエーブちゃん。とコードネームきれんちゃん。
右、津波から逃げる車の中でおろおろしてたウエーブちゃんの父。と飼い主さん。
  普通なら……このどちらかが表紙だよね。
  シンヂではなく(笑)。 

 
posted by kikuni at 12:48 | 日記

2012年08月03日

シンヂがいっぱい

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『シンヂ、僕はどこに行ったらええんや』(双葉社)の、著者分が届いた。
さっそく自宅で平台を作ってみる。
時間があれば、手描きポップでも立てたかったところだw

「本書は、ある漫画家が謎の男に導かれ、初めて体験した被災地でのボランティア活動を、フォト&イラスト&エッセイで綴った記録である」
と、帯にある。
実によくわかる紹介である。

ところが……
内容はよくわかるのだが、表紙の画像とタイトルがちょっと判りにくいことになっている。

実際、担当編集者がこの刷り上がった本を持って社内を回っていたところ、何人かからこう言われたらしい。
「この人が、作者のキクニさんですか?」

当然の判断だ。僕のことを知らない人がみたらそう思うだろう。
きっと書店でも、そう思う人はたくさんいるに違いない。

だから帯の裏にはこういう説明を加えた。

…………………………………………………………

Q シンヂって誰?
A 僕(キクニ)の友人
  四十歳の関西人
  大阪&台湾に事務所を持つ工務店の社長
  大飯ぐらいで健康診断はいつも引っかかる
  声がでかくて祭り好き
  とりあえず何でもやってみる
  プーケットマラソンは最下位で完走
  震災直後に被災地に飛んだ熱血漢
  そして……
  その背中で僕に行動させた男

…………………………………………………………

これでだいたいのところは判っていただけたことと思う。

でも問題はある。
この本は彼のことを書いた本ではない。
というか、ほとんど登場しないといってもいいほどだ。

だったななぜ、そのタイトル!?

当然の疑問である。

何か判りやすい喩えがないか考えてみた。

ええと……あれですよ。

象徴。

『巨人の星』でいうと、夜空でひと際輝く星。

うーん、ちょっと違うか。

心の相談相手。

『コメットさん』のおばあちゃん。

若い人に判らない。というか、僕自身もよく覚えていない。

判ったあれだ。
川崎選手にとってのイチロー。
よし、これならしっくりくる。

そして思う。
何がおこるか判らない世の中。
今後彼だって、何かの間違いで行くかもしれないしね。
ニューヨーク・ヤンキースに。

しまった、ますます判らなくなってしまった。

とりあえず、書店で前書きを読んでください。
そしたら納得です。

★本日の画像
1)ライバルは安達祐実の母さんの写真集
2)センターには、ボランティアで知り合った友人、成瀬敦視君の写真をカラーで収録。
  テーマは笑顔。
posted by kikuni at 11:09 | 日記

2012年08月01日

シンヂと僕とボランティア

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7月6日のブログに書いた記事、
「ボランティア日記が書籍化されます」の詳細情報です。

「シンヂ、僕はどこに行ったらええんや」(双葉社)
8月8日(一部10日)発売

Amazon http://tinyurl.com/c7y9ku2
honto(旧bk1) http://tinyurl.com/bqctgns
楽天 http://tinyurl.com/ce9ppk8

ネットでは二種類の定価が表示されていますが、1680円が正しいです(多分)。

本日の記事は、この本について語っていますが、内容には一切触れていません。
テーマについてはこちらをぞどうぞ。
http://inufun.sblo.jp/archives/20120706-1.html

  ※  ※  ※


詳細発表が遅くなったのは、ギリギリまで隠しておきたかったから。
読者……
ではなく、この本の表紙の男〈シンヂ〉に。

  ※  ※  ※

彼は僕の友人、
そして僕をボランティアに向かわせたきっかけの男、なのだが……

彼は僕にいつもサプライズをする。
例えば、

大阪在住なのに、東京での僕のサイン会に現れたりとか、
大阪なのに僕の誕生日の夜にケーキ持って玄関の前に立って「サッカーの代表戦、観に来た」と言ったり、
夢舞いマラソンを走ろうとスタートラインに立ったら、横にゼッケンつけて立っていたり(何度も言うが、彼は大阪在住だ)。

そんなことが、これまで何十回もあった(ひょっとしたら今だって、玄関のチャイムが鳴るかもしれない)。


だから常々思っていた。
一度ぐらい彼を驚かせたいと。

そのチャンスが訪れた。
編集者との打合せの席で、単行本のタイトルに彼の名前、表紙に彼の写真を使うことに決まったのだ。


ふふふ、シンヂよ、
発売日に本屋で驚け!!


そうニヤツキながら、作業をする日々。
彼と会っているときも、言いたい気持ちをこらえるのが大変だった。

そんなある日、またまた彼は突然現れた。
「東名高速を走ってたらトイレに行きたくなったので借りに来た」と。
言うまでもないが、僕の家は東名高速とはまるで関係ない場所にある。

「またか」と思ったけれど、その日はいつもと違って笑っていられない理由があった。

なぜなら、そのときの僕はこの本のゲラ作業中で、
机の上には一冊分の原稿が乗っていたから。

ゲラは遠くから見れば、ただのテキストの羅列である。
だが、少し近づけば、すべてのページの左右に、タイトルである〈シンヂ〉が印刷されているのが見て取れるのだ(6日の画像は、メガネでこれを隠している)。

慌ててゲラをかき集め、別の部屋に運んで隠す。

「ちょっと休憩して行ってもええすか?」彼は問う。
わざわざ大阪から来た友を追い出す訳にはいかない。

「あ、キクニさんは俺のこと気にせんで仕事しといてええですよ」
一応気を遣って尋ねてくれる。

うん、仕事したいのはやまやまだ。
〆切は明日だしね。
でも……

君がおったら仕事ができんのじゃあああああああ!

この本の表紙は、ボランティア先で知り合ったカメラマン成瀬敦視君が、東松島のテント村でシンヂを撮ったものだ。
彼とシンヂもボランティアで知り合った仲だから、その付き合いは、まだ一年を少しこえたぐらいだ。
でも今では埼玉の彼の家は、シンヂの東京事務所と化し、シンヂは鍵も持って自由に出入りする間柄になっている。

ある日の朝、成瀬君が階下におりてみると仕事場にシンヂがいた。
「あー、来てたんですか?」
いつものように挨拶して、彼も気づいた。

仕事机の上に、表紙の色校が乗っているじゃないか!!

「幸い、裏向きだったんですけど、ほんとに困らせてくれる人です」



そうやって隠し続けてきた表紙である。
でも気がついたのだ。
発売日に本屋でシンヂを驚かせるということは、その日まで一切の告知ができないことを意味すると。

僕の負けである。
一週間前に彼に知られてしまうのだから。


そして今になってありうべき可能性に思い当たった。
シンヂに「肖像権の侵害や」と訴えられること。

もし、そうなったら……
本は回収である。

いやだなあ。ドキドキ。
うん、決めた。
もう、サプライズは二度としない。

★本日の画像
1)津波から逃げる車の中で生まれた子犬、を抱くシンヂ
2)東名高速から我が家に「サッカー観せて」と現れた、ある日のシンヂ
posted by kikuni at 09:17 | 日記